JFW NEW CREATOR AWARD

最終審査結果発表

次世代の繊維、ファッション業界を担う人材育成プロジェクトとして、JFWによる新しいコンテスト『JFW NEW CREATOR AWARD』(略称:NCA)をスタートしました。~なりたがる形がある~ とういうアワードのコンセプトに基づき、テーマ素材からデザインストーリーを展開するミッション型のコンテストです。服飾専門学校・大学の学生・アマチュアクリエーターからの、総数1309点の応募の中から、1次審査~2次審査を通過した入選作品15点をTokyo Textile Scope会場内で展示発表しました。


一次審査通過で選出されたデザインはどれも素材とシルエットの相性が良く、また素材と相性の良いテクニックをテクスチャーに施すアイデアで、素材からデザインストーリーが展開された作品となっていました。二次審査会では8社の企業から素材提供を受け制作した30点の作品の中から、さらに15点を選出し入選作品としました。二次審査では、特に素材を活かした作品の完成度に焦点をあてました。


11月13日(木)16:30から、会場内イベントスペースで、最優秀賞(1)、優秀賞(2)の発表~表彰式を行いました。優秀作品3点は、次回(2026年2月)の、プルミエール・ヴィジョン展で展示し紹介します。最優秀賞1名は。パリ渡航の特典もつきます。

<審査員>

審査委員長 滝沢 直己 (Naoki Takizawa) 氏

審査員 江角 泰俊(EZUMi)氏

審査員 廣川 玉枝(SOMARTA)氏

<協力企業>

デニム生地提供:カイハラ株式会社、山陽染工株式会社、
篠原テキスタイル株式会社

ウール生地提供:オパレックス株式会社、三洋毛織株式会社、
時田毛織株式会社、中隆毛織株式会社、
中伝毛織株式会社

<協力>

プルミエール・ヴィジョン

<審査講評>

審査員長 滝沢 直己 (Naoki Takizawa)

世界でも素材を限定した条件つきデザインの賞は珍しい。当然、デザイナーの素材の特性を見抜く力が重要になってくる。別にこの素材でなくても良い、むしろ他の素材の方が良かったと思われるオブジェのような作品が目立つが、それはテーマから外れている。そのような意味で選ばれた一位の作品はスーツとなった。上質のウール素材を選択し、テーラーの基本技術、型紙構築を踏まえながらも、装飾的要素を入れ込み、今まで見たことのない新しいスーツの捉え方をしていた。そして最も重要なのは実生活でもオシャレに着れることへの挑戦は新しい日本のデザインコンペの方向を示すものに感じた。

審査員長 滝沢 直己 (Naoki Takizawa)

審査員 江角 泰俊(EZUMi)

今回第1回となるJFW NEW CREATOR AWARDの審査に参加し、デザイン画と実際に制作された衣服を拝見しました。印象的だったのは、デザイン画の表現方法が多様化し、完成品とのギャップが見られるケースも多かったこと。絵としては魅力的でも、実際の服としてどうかという点で慎重に審査を行いました。最終的には、生地の活かし方や服としての完成度の高い作品が上位に入りました。現代性や独自性、新しさのある提案も重要です。荒削りでも、これからのファッションを切り拓く力を持った若い才能がさらに増えていくことを期待しています。

審査員 江角 泰俊(EZUMi)

審査員 廣川 玉枝(SOMARTA)
Photo: SINYA KEITA (ROLLUPstudio.)©SOMA DESIGN

素材を活かすということは、糸や織り、硬さ、張りといった素材本来の特性を的確に理解し、その魅力を最大限に引き出すことにあります。そうした特性を踏まえながら、パターンや造形、シルエットを丁寧に構築している作品に思慮深さを感じました。更に、裏面の仕様や縫製など、細部にまで意識が行き届いている作品には、作者の衣服に対する誠実な姿勢と高い完成度が表れています。素材の特性を生かしながらも、テキスタイル、スタイルとして独自の感性や視点を昇華させた作品には深みと強さがあり、非常に印象的でした。

審査員 廣川 玉枝(SOMARTA)

<最優秀賞>

榊原 叶真(文化服装学院)

テーマ:痕跡 生地:中伝毛織株式会社

Photo04

テーラードにおける「しつけ」や「ハ刺し」など、仕立ての過程に潜む構造は、本来は完成と共に隠され、解かれていきます。しかしそこには、伝統的な技術と、合理性に裏打ちされた必然的な美が存在すると考えました。本企画では、その隠された機能美をスパンコールという装飾的要素で可視化することで、装飾と構造、完成と未完成の境界を問い直します。目的をもって施されたしつけやハ刺しは、構造を支える役割から視覚的表現へと変化し、仕立ての過程自体がデザインとして昇華され、無作為な装飾ではなく、意図と機能が共存する新たなテーラリングの在り方を提案します。


控えめな色合いとクラシックな印象をもつヘリンボーンストライプの生地を選びました。テーラードに用いられる代表的な素材であり、コンセプトに掲げた「伝統の再解釈」を体現するのにふさわしいと考えました。程よく起毛したなめらかな質感は立体的な縫製に適しており、暗いトーンの中でスパンコールの光が際立つことで、構造の痕跡を美しく浮かび上がらせる効果も意図しました。また、文化服装学院メンズデザインコースに在籍し、テーラリングの基礎を学びながら、伝統的な形を自分のデザインへと発展させることを探求しており、この素材は自分の学びや姿勢とも深く結びついています。


2025年秋冬の楽天ファッション・ウィーク関連イベントにて、文化服装学院を代表し、ブランド「KYOMA SAKAKIHARA」として6名による合同ファッションショーに参加しました。各自が6ルックを発表し、私自身もその中で作品を披露しました。また、同メンバーと共に7月上旬に合同展示会を開催し、2日間で約200〜300名の方々にご来場いただきました。ショーで発表したアイテムを実際に購入してくださる方もおり、貴重な反響を得ることができました。将来の目標、展望は日本を代表するデザイナーになることです。国内にとどまらず、より多くの方に自分のデザインや服を届けていきたいと考えています。本コンテストでは、最優秀賞・優秀賞を受賞した際に、パリでの展示を通じて世界に向けたプロモーションができるとのことで、参加しました。

<優秀賞>

原 寧音 (中部ファッション専門学校)

テーマ:かわいい 生地:山陽染工株式会社

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日本発祥であるかわいい文化を世界中の人達に知ってほしく、身につけてほしいと思ったのでかわいいをテーマにしました。大きい帽子にフリルをつけたり、大きいリボンを首元につけたり、全体的に丸っぽくすることで全体でかわいいを表現しました。スカート部分についているうさぎは手をつないでおり360度どこからみてもかわいいと思ってもらえるようにしました。

<優秀賞>

川上 琳太郎 / 中嶋 梨乃 (文化服装学院)

テーマ:藍 生地:カイハラ株式会社

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藍、愛 人が持つ感情の中で最も不完全で尊い感情が愛だと思っており、愛ならではの曲がった愛情やストレートな愛情、支えあったり補い合うことでの信頼の愛情、尊敬の愛情をデザインしました。色々な形や種類がある様子をアシンメトリーで表現しました。

<審査員特別賞>

宮川 一葉 (大阪モード学園)

テーマ:小さな曲線 生地:山陽染工株式会社

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生地に織り込まれている糸を引っ張ることで生地に小さな曲線を出しました。

<審査員特別賞>

ミルザ テヘニーヤット (東京モード学園)

テーマ:ネオ・ボタニカル 生地:篠原テキスタイル株式会社

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現代は、自然とテクノロジーが対立するのではなく、共存する時代。このドレスはその「共生の美しさ」を視覚的に表現しています。

<審査員特別賞>

荒川 朝陽 (大阪文化服装学院)

テーマ:猫の気まぐれな行動 生地:三洋毛織株式会社

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自宅のカーテンにある猫の引っかき傷は、彼らの気まぐれさや彼らへの愛情を想起させます。実際に猫に生地で遊んでもらい、引っかき傷をつけてもらいました。

2月プルミエール・ヴィジョン展

2026年2月3日(火)~5日(木)

第2回『JFW NEW CREATOR AWARD』(略称:NCA)

応募要項は4月頃に発表予定です。どうぞご期待ください。